欲しいは月様の水気を御入込み下さるで水の性を受けて物を殖やそうとする心が湧く、水にかければ皆物がふえる夜は殖える宇宙間万物の殖えて居るは月様の御心。見るからして欲しいと云う心が起る。見ん恋は起らんというて何でも目に見えるもの欲しいと思う心。
月様は御心現れて守護下さるは情けが情が陽に現れば慈悲、情けは水、正直誠。生ずる殖える。誠は物の殖えるよう生ずる理。欲しいは丹誠して物を殖やすは月様の理に叶う。其の理を踏んで行けばひとり殖える一つ/\皆殖える。我が身働いてその値を求むる。
尽くすべき丹誠尽くさずして我れが働くのがうるさいから働かずに欲しくなる其の理を踏まず勤めずして殖やそう欲しい故埃となる身を怠け惰りてあれが欲しいこれがほしい人の目人の心をかすめ、くらまし或いは貪る偽り、或いは人の倉にでも這入る遂には強盗となる如くすべて非道の欲しい。人を痛め、人を倒しても我が身に欲しい。人に対する所こうして貰いたい。あゝして欲しい、こうもしてくれそうなもの、なるほどこうと見て貰いたい、全て貰いたい心は皆欲しいなり。
人間は人に情け心を持つべきものであるが其の反対で人に貰いたい人の情けを受けたい心故欲しい。心が小さくなる我が方へ引き付ける方は皆狭くなる。人を尊い敬うより、我れが人に敬うて貰いたいという欲しい心高い心は価値は低い、落ちる心、高い上る心。いわゆる胸が狭い故心高く。心の小さいは月様の御心に添わん。欲しい心を去って心清らかに成るに従い情け心広く大きく成る也。埃と云うは皆神の真実を無にする心にて神の道の働きを止めるもの故に、其の神様の得を失い遂には身を滅ぼすに至る。
欲しいと云うても人徳の希望欲する心は人間の天性で神が入込み下さって、神より分け与えられたる神魂の自由用の理の正の方面に動いているものである故人間も又他の動物も生存上無くてはならん。此の心が有って活動し目的に進み向上の道をたどりて、楽しみ喜び生活の道を求めるのであるが其の心の自由が正を失いて邪に入り間違い即ち心得違いとなって来るゆえ埃となって迷い苦しみ煩悶を求める事になる。
例えば御道の熱心なるものが天理の真理、奥意を悟り人を助ける神妙の理を胸に得たい心の財産を求めたいと思う心は神の心に叶う心でなくてはならん、此の心なきようなものは道の為にも社会の為にも将来有功の見込みはない。其の幽冥の故を胸に治めるには御教祖の永の御苦労下された御心を雛形とし御教祖より教えられたる天啓の理を研究して人を助ける事に働くから一つ/\其の理が胸に治まって心の財産が殖えて行く。其の道を踏まず、勤めずして殖える筈はない。
例えばこゝに肺病患者を三人位助けてみたら肺の専門家に成れる全ての病が其の如く実地助けてみねば聞いただけで分るものでもなく、又こうだと教える事も出来んもので皆云うに云えん所が有るもの也。それと同じ事で皆其の理を踏まねばならん。月様の御心で万生じ殖える其の月様の理を無にして其の殖える道即ち誠を踏まずして物を殖やそうとするのが埃ゆえ、殖えず与わらず苦しまにゃならん。
たとえてみれば子供が人の物でも無暗に欲しがりて取るようなもので、成長すると其の我れに求める与わる道がわきまえがつくようなもので、人間も神様より見給えばそんなもので恐き、危なき道を通って、神の目にはいじらしいと仰せられてある。成人が出来ねば神の心を知って其の徳を貰う道が聞き分けがつかん。月様は誠水の心、足納が水の心、正直素直、誠なり。足納の理が治まらねば、不足欲しいの埃となりて、八埃は皆不足より生ずる。
神言「それ人間と云う身の内というは神の貸し物借り物心一つが我がの理。心の理というは日々という常という日々常にどういう事情どういう理幾重事情どんな理どんな理でも日々に皆受け取る受け取る中に唯一つ自由用という。一つの理自由用という理はどこに有るとは思うなよ只めん/\精神一つの理に有る。日々という常という、日々常に誠一つという誠と云えば一寸には弱いように皆思うなれど誠より堅き永きものはない、誠一つが天の理。天の理なれば直ぐと受け取る直ぐと返やすが一つの理、よく聞分け。 又、自由用の理は結構と思いながら自由用の理が分らん又、身上有って楽しみ、身上有っての道である是れ一つ聞分けてくれ。」
目に見えぬ心一つより人間のものはない心というは神の分魂にて本体は神、神の守護故に日々と云う日々常にと仰せ下さる。日々に心使う理が人間のもの故、心は人間の自由に使える。身上始め宇宙間一切のものは神のものゆえ神が自由決して、人間の心の自由ではないのである。もし人間の自由に成るものなれば難儀や不自由や病み煩いするものはない。
人間は心一つの理によって即ち前生より今生日々の心使い因縁によりて身体を始め一切がいわゆる我れの境遇が貸し与えられて居るもの心の徳心の価値だけの価値がある。誠という心の理が自由用の理なり。
神の本体より神は人間身上を造化し天理より人間と現わして此の世に生み出し給い世界一切のものは人間の為に作り給う故天地開闢の目的は人間の幸福にあり。身体が自由用に使えると同じく其の人間に対する一切の事物を心の自由用に与えて下さる。
理は誠、神は誠、分魂たる人間の心の誠人間の衣食住一切財産金銀にせよ縁談にせよ一切の自由用是れが誠をかき間違うから埃となるゆえ、其の自由用が出来ぬ与わらぬ身上始め心の望む一切が不自由となりて困難し迷う故に心の希望欲しいという人間の幸福を向上増進して満足する道は天理、即ち誠の心の道を通るより外に道はない。即ち心一つの理を向上進歩して踏まねばならぬ。
心一つの理前世因縁心の道に依って身上始め一切の現在の境遇が現れて居る事が分らず天命を知らず皆前世より誠をかぎ足納の理が治まらずして不足々々に通り天恩人の恩が重なりて不自由難儀となって居る。其の心を持ち越し不自由なれば益々不足を積み、人を不足にし或いは不正の欲望を逞しうて誠を失う。しかして人の欲望には限りなきもので足納の心が治まらぬ。
神の大恩人の大恩が分らず結構を結構と思わず、日々我が身の境遇を不足に思い、足る事を知らず上を眺めて何を見ても欲しい/\足納が出来ぬ故、心は日々に不足不平がみなぎり平和なる事が出来ぬ我が身の分限身分をわきまえずいたずらに人の身の上境遇を羨み、或いは我が身我が家ばかりの利益を計るために人を害し人を偽り人の目を掠めるが如く卑しき寂しき行いをするようになり非道の欲望を貪り罪悪を犯すようになる。
埃の始まりは欲しい物の始まりも同じこれより八埃が生ずる故神魂の誠を失い天の理にそむき一身の健康も一家の円満も保てず社会の安寧秩序も害するようになる。
例えば商売しても性質薄情にして高売りをする或いは酒を売れば水を売る如く升目量り目でも人の目を掠める様な色々狡猾な智恵を巡らし、只自分の利欲だけを考えて人に同情の無い先案じの小さい心の者と又一方は正直に不当の口銭を貪らず成るべく親切にして、人の需用に応じ人の便利を計り人に満足を与える、心低くして人を丁重に取り扱う者とどちらが商売が繁盛するか。
論ずるに至らん事である其の人を大切にするという人に情けある心が誠であるから、人気がより、金が殖える。金は誠なり続ぎなり人の誠がよる。誠の無い心の小さい目先の汚いものは商売も栄えん如く、誠の心には神の守護が厚いで人の引き立て信用仕合せを得て正直の頭には神宿ると格言にもある通りで善き方へ/\と智恵も回りていわゆる運は天に在ると申す如く成功する。
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